うつ病について
うつ病は、感情の病気です。気分が沈んで何をするにもおっくうになります。気の持ちようが悪いとか、怠け者になったなどと誤解されることも多く、患者さんはつらい思いをします。また、病気としてとらえられないことが、治療が遅れる原因にもなります。
大部分のうつ病は、抗うつ剤の服用などの治療によって、回復します。ですから、どんな病気かを理解して、正しく対処することが大事です。
大部分のうつ病は、抗うつ剤の服用などの治療によって、回復します。ですから、どんな病気かを理解して、正しく対処することが大事です。
うつ病の頻度
うつ病がどれくらい見られるかは、調査によって異なります。平成14年度の大規模疫学調査によれば、15人に1人くらいの人が、生まれてから調査時点までに、うつ病を経験していました。男女比は1対2で、女性に多く見られます。
うつ病の症状
ゆううつ
考えるのも面倒くさくなる
優柔不断
興味関心の喪失
おっくうになる
何かやりたいという気があっても、行動に移せない状態です。やらなければならないけれども、おっくうで何もする気になりません。「やる気があっても体がついていかない」という言い方をします。話をするのも面倒になり、友人などが見舞いに来てくれても、聞かれたことに返事をするのにも、エネルギーを要します。掃除、洗濯などもやらなければならないと思っていても、やる元気がなく、こんなことではいけないと思うのですがどうにもならず悩んでしまいます。自分を責める
いらいらしてじっとしておれない
死にたくなる
日内変動
身体症状
| 睡眠障害 | 寝付きはいいけれども、早朝に目が覚めるという不眠が多く見られます。普段は6時頃まで寝ているが、最近は3時か4時くらいに目が覚めて、それからはいっこうに眠れず、悲観的ないやなことばかり考えて、朝を迎えるというタイプです。寝つきが悪く、寝てもすぐに目が覚めるという場合もあります。まれに過眠になることもあります。 |
|---|---|
| 食 欲 | 何も食べる気がせず、義務で食べているという感じになります。食べてもおいしくなく、砂をかむような感じです。そのため体重が減ってきます。まれに、何か食べていると気分が紛れるということで、食べ過ぎて太ってくることもあります。 |
| 性 欲 | 低下し、関心もなくなります。 |
| その他の身体症状 | 頭が痛い、頭が重い、便秘、下痢、肩こり、腰痛、胸がどきどきするなどのいろいろの身体の症状が出ることがあります。うつ病による身体症状は、抗うつ剤が効いてくるとよくなります。 |
うつ病の経過
うつ病は、周期的に繰り返す傾向があります。いったんよくなっても、再発しやすいのです。1回の病期は数週間から数ヶ月です。まれには1年以上続くことがあります。
治療を開始すると、平均して3ヶ月くらいで、症状はかなり改善します。寛解状態になるのに、6ヶ月から1年くらいかかることもあります。
15%くらいは、うつ病がなかなかよくならず、症状が延々と続くことがあります。
治療を開始すると、平均して3ヶ月くらいで、症状はかなり改善します。寛解状態になるのに、6ヶ月から1年くらいかかることもあります。
15%くらいは、うつ病がなかなかよくならず、症状が延々と続くことがあります。
うつ病の際の注意事項
病気として対処すること
薬を飲むこと
うつ病には、薬がよく効きます。まずすべきことは薬を飲んで十分休むことです。薬に頼らず、気の持ちようで治したいという人もいますが、これは危険です。自殺の可能性もかなり高い病気だからです。悲観的に、絶望的にしか考えられないというのは病気に症状です。そういう時に、楽観的になれと言っても、言う方が無理なのです。抗うつ剤は、少量から服用を始め、2〜4週間くらいかけて有効量まで増量します。そのため効果があらわれてくるのに、3,4週間かかることがあります。1日飲んだくらいで、効果を判定してはいけません。抗うつ剤は、毎日規則的に飲み続けて、しばらくしてから始めて効果が出てくる薬です。
抗うつ剤に限らず、精神に作用する薬は、その効き方や副作用に、大きな個人差があります。どの薬をどのくらいの量使うかについても、試行錯誤をしながら決めていかなければなりません。薬の効果と副作用を見ながら、量や種類を調節していくのです。一日目に眠気やふらつきが強く出て、それで恐くなって服薬を一切やめてしまったということもあります。これではよくなりません。その結果を医師に話して、自分に合う薬を決めていく必要があります。
うつ状態がよくなっても、6ヶ月以上は服薬を続けます。すぐに服薬をやめると、再発の危険が高まります。
十分休息すること
寝てばかりいては、仕事に行けなくなるのではないかと心配する家族もありますが、そんなことはありません。病気が回復すれば、エネルギーもでてきて何でもやれるようになります。風邪を引いている間は熱もあり体もだるくて、何をする元気もありませんが、治れば動きたくなるのと同じです。
うつ状態が重い場合は、治るまで仕事を休ませてもらって治療に専念するのがベストです。仕事を続ける場合でも、残りの時間をできるだけ多く休息に当てることを考えます。手抜きできるところは、手抜きするのです。
軽症のうつ病でも、ゆっくりと休むために入院することもあります。
大事な決定
病気によって能力が落ちて、正しい判断ができないときには、仕事や学校を辞めるなどの人生を左右するような大事な決定をしてはいけません。病気がよくなったときに、どうしてあんなことをしたのだろうと後悔することになるからです。大切なことは病気が回復してから決めるべきです。
逆に環境を変えた方がいいこともあります。うつ病になる前から、環境を変えようと考えていたとか、過酷な環境がうつ状態の原因になっていたり、治療に悪影響があると判断される場合です。うつ病が治っても、もとの環境にもどれば、再び悪化するのが明らかな場合は、環境を変えることも考えなければなりません。
転職、転居その他の大事な決定をする場合は、前もって担当医に相談することをお勧めします。
死にたくなったときは
死にたくなったときは、できるだけ早く専門医に相談することです。
叱咤激励しないこと
それどころか、自分は何もできなくて申し訳ない、迷惑をかけるのだったら死んだ方がましだというように、自殺の思いが強まります。
うつ病の人には、「頑張れ」とか「気力で乗り切れ」などということは言ってはいけません。